【捨てる神あれば拾う神あり】ダフラ−西サハラ
2019年12月8日
あの温泉の地を複雑な心境で出発した自分は、ひたすら走ればこのモヤモヤも晴れると思った。
しかし、一向に晴れる気配はなく「ああ、せっかくの旅だからこんな気持ちになりたくないのに」とモヤモヤを引きずり回しながら走っていた。
出発して一時間向かい風に吹かれ始めて辛くなってきたところに、ガソリンスタンドがあって寄ることにした。
朝食にオムレツとパンにハーブティーを頼んだ。とても質素な朝食だったが、少しやる気がでてきた。さっきまでの落ち込んだ気持ちは、お名が空いていたのもあったからかもしれない。
ガソリンスタンドを出発すると何日か前に見たような、海が見える崖の道だった。向かい風のようになっておりとても走りにくい。時速10kmぐらいだった。
30kmをやっとこさ走り、見えた人が住んでるのかわからない廃れた町があったので寄るものの、小さなお店も人影すらなく集会所のような建物の前で座ってサンドイッチを作る。
寂しく砂にあてられながら昼食を食べていると、すすけた黒い車がやってきてドライバーが話しかけてきた。「どこから来たんだ!」そんなかんじだったがフランス語はめっきりだったため、特に盛り上がらずにドライバーは諦めて立ち去ってしまった。
こういうことがあるから、言語はちゃんと学んでおけば良かったと後悔する。行ったら話せるようになるなんて幻想だ。
しかたないと気分を入れ替えて、昼食を食べ終えた。
出発しようとしたところ、砂にはまり進み難くなっているとろこにさきほどのドライバーがやってきて「なんなら乗っていくか?」意味は目と身振り手振りで理解した。
ダフラに住んでいるらしく、そっちは進行方向なので乗せてもらえることになった。乗せてもらった理由は3つあり、交流に飢えているというのと、向かい風で死にそうだったのと、ドライバーのお兄さんが親切な人特有の優しい目をしていたからだ。機能のおじさんとは明らかに違っていた。
ダフラとモーリタニアに続く交差点についた。ダフラは半島になっており、発達こそしているものの行ってしまうと戻るために半日使わなければならなかった。向かい風にもなっていたら、行ったっきり帰ってこれないかもしれない。
その交差点では警察がおなじみの検問をしており、いつも通りやり過ごそうとしたところしつこく止められる。お兄さんは知り合いなのか間を取り持ってくれて通してくれそうになる。
「この先に軍の施設があって危ない地域」ということまでしかわからない。あと警察にはホテルで泊まると言っているが、内心は見つからないところで野宿するから、無人地帯が続いていても大丈夫という自信があった。
あまりにも自分が譲らないので通してもらえることになった。
ドライバーのお兄さんに水や食料をもらい、感謝を重ねに重ねて出発した。
その後さらなる出会いがあった。
つづく