【白いお別れ】Esperanza〜RioGallegos−アルゼンチン
2018年5月3日
昨日から犬のシロとここで別れるか考えて、朝になってしまった。
出発準備も整いあとは走り出すだけだったが、シロが朝食を食べてからまた木の根元で丸くなって寝ており、近くに寄ってくる様子はなかった。
そこで声をかけずに進みだして追いかけてこなかったら置いていく、追いかけてきたら最南端まで連れていくと決心し、テントの近くに買ったシロ用のビスケットを置いて進みだした。
どこかで気づいてほしい気持ちがあった…。
すぐ追いついてきた\(^o^)/
さっき置いてきたビスケットを回収して、一緒に最南端を目指すことを決意し直し、今日も一緒に走り出した。
3日連続の走行だっていうのに、元気いっぱいに走っているシロ。一日100kmほど走っているというのに、筋肉痛とか存在しないのだろうか。
最南端に行く頃にはシロはムキムキマッチョメンになっていることだろう。
シロの最南端到着後のイメージ。
一緒に走っているときに影を撮影してみる。
いつもどおり一時間ごとに10分休憩を入れる。
休んでいるときは私と同じく寝ぼけた顔をしているが
「いくぞー」
と声を掛けると顔が一気に笑顔になり元気に走り出す。よほど走ることが楽しいようだ。
後ろから車が来たら、追うように走っていたのは叱っていたので数は減っていたものの、音がすると構える動作は癖なのか一向に直らなかった。
そんなこんなで60km走った中間地点で、なにもない荒野の真ん中で停車していた車に珍しくシロが走り寄っていった。
「なんだろう、他の人のところには行かないんだけどな?」
と疑問に思いながらも追いかけて車によっていくと、一人のオジサンの元にシロが寄っていたのだった。
「この犬【トビー】の飼い主と知り合いだよ、だから私が送り届けてあげられる」
マジか!!!だからシロが寄っていったのか。
てか、やっぱ飼い犬だったのかシロよ、
トビーだったからシロって呼ぶと不満そうにしてたのねw
っていきなりのお別れ?!
とか色んなことが頭のなかをかけまわり、少し整理がつかなかったがシロが飼い主のもとに帰れるならこれ以上はなかった。
「お願いします」
と混乱している頭とは裏腹に自然と言葉が出ていた。
オジサンが「おいで」といって連れて行こうとすると、シロはどっちに付いていけばいいのか混乱しているようだった。
「ちょ、最後に挨拶だけ!」とオジサンに言い。
「いままでありがとう、楽しかった!」とシロ(トビー)をナデながら言った。
それでもまだ行こうとしなかったのでオジサンに車に詰められ、ついに走り去っていってしまった。
「よし、これで心配事もなくなったし心置きなく進める」と思って走り出したものの、心は置いてきてしまったみたいに空っぽだった。
休憩しているときシロ用に買ったビスケット6袋が、残っているのに気がついた。
「ああ、いっぱい食料が残っちまったなあ…」と少し虚しさを紛らわすために食べたものの、虚しさばかりが増すばかりだった。
その日はリオガジェゴス手前の、川近くの廃墟で野宿したのだった。