【一筋の虹】Yangana〜Valladold−エクアドル
10月15日
やっちまった…
それは昨日にまでさかのぼり14日の昼下がり、山の雨の中を一人で走っていた。いつも通りに野宿をして明日には次の村についているはずだった。
テントを張った時点で風がさらに強くなっており、テントの杭をシッカリと張って急いでテントに潜り込み、ホッとして体に張り付いた服を脱いて体を拭いていると
「ビュウ!!!!」といきなり突風が吹き、1本を残して他の杭が全部抜けてしまった!ここまでの風は初めてかもしれない。いそいで濡れた衣服を着用して、外に出て設営し直す。
なんとか立て直し、体をふきなおして服を着込んで寝袋をかぶって寝たのだった。
そして今日である。
テント内半分が水没してるぅー!
こんなことは自衛隊の富士の野営訓練以来の経験だった。もっとも自衛隊のときは完全に水没してテント内に居た訓練生のほとんどが溺死するような思いだったが。
なんとかマットレスの上にまできてないのでなんとかなっているが、完全に水没するのも時間の問題だろう。さらに出発しようにもまだ突風と大雨が暴れん坊将軍だった。
↑まるでやられるのを見ているだけの悪役の心情でした。聞きながら読むと気持ちがわかる…はず。
さらにさらにテントの中に立てこもろうにも食料が
オレオ、1袋しかない
完全に終わった、安全策などは存在しない。とりあえずいつか出なければ餓死する。
次の村に行こうにもスマホのGPSで30kmほどあるらしく、上り坂で自転車押して時速4kmで行くには7時間と少しかかる計算だ。無謀だ。
それならば13km前の村に一度戻って、食料を買って準備を整えて再挑戦が現実的だと考えた。それに戻りつつヒッチハイクをすることによって、運が良ければどちらかの村に乗せていってもらえるだろう、ただ究極的に車通りが少なかった。
それからはひたすら雨と風が止むのを待った、ひたすらに待った。
突風が吹くたびにテントの濡れた壁は体に引っ付いてくるほど押され、カバンを盾に濡れないようにした。
そして時刻は10時過ぎでそろそろ出発しないと、故障とかの不測の事態に対応ができなくなる。
「いいや限界だ、行くね!!」
と勢い良く飛び出してみると
虹が出ていた
それだけだったが。
これでも雨と突風は強くなったり弱くなっている。
ただここで諦めてはダメだと強く思った。
かつてないスピードでテントを撤収して、グチョグチョの荷物を自転車にくくりつけ出発した。ビショビショだったが、不思議と寒くなかった。
ここまでが上りだったので一つ目の下り坂を転ばないようにブレーキに気をくばりながら疾走する。
なんだか対向車側から音が聞こえるような…
と思った瞬間に全力でブレーキをかけた。
そう、車に乗せてもらえた。
必死にどうしても連れて行ってほしいと伝えると、仕方なくという感じだったが乗せてくれた。それも進む予定だった村の方である幸運だ。私は車の中で少しホッとして突然眠気が襲ってきて眠りに落ちていたのだった。
気がつくと次の村のレストランの前で止まっており
「じゃあ、俺らここで仕事があるから!」と言って去っていった。本当にありがとう。お腹と背中がくっつく寸前だったので、すぐさまレストランに駆け込んでたらふく食べた。
ほとんどの持ち物がビショビショのグチャグチャで整備が必要だったのでそのあとはホテルに向かい、また寝てしまったのは失敗だったが確かにその時、幸せだった。