【アメリカ大陸、最南端】Tolhuin〜Ushaia−アルゼンチン
2018年5月12日
伝説のパン屋さんまで一緒だった、パコさんとミチコさんは飛行機の都合で先に出発した。
自分はといえばアメリカ大陸最南端を目の前にして、その気分を長く味わいたいため、伝説のパン屋に二泊していた。
エントランスでゆっくりしていると、チャルテンの宿で働いていたバイカーのイナバさんとたまたま再会した!再会祭りである。
イナバさんはリオグランデからここまで3時間ほどで走ってきたが、バイクであたる風が死ぬほど冷たく、見かけた町に寄ったところでパン屋にたどり着いたらしい。
さすがの伝説は伊達じゃない。
お互いに最南端を目の前にゆっくりと過ごした。
そして今日出発して、最南端に到着する日になるだろう!
そう息巻いて、イナバさんに別れを告げて出発する。
とは言ってもやることは一緒、ペダルをひとつひとつ回して行く、ただそれだけだ。
途中のベンチのある広場で休んでいると、片足を怪我したキツネが自分から近寄ってきた。
「そんな足だったら、食事にありつくのも難しいだろう。ちょっと待って…」
バッグから昼飯用のパンを一個放り投げてやる。
すると先程までヨッコラ動きだったキツネがいきなり素早く動いてパンをくわえると、せっせこと丘の向こうまで駆けていった。
「早くうごけるじゃないかよ!なんだよ、心配して肩透かしだ。」
5分後にまたもやヨッコラ動きで近寄ってきた、あざといキツネには食料をあげずに出発した。
たしかに左前足を怪我はしているようだった。
鳥までタカリにきていた、そんな奴にはやらん。
雲が多すぎず、見ていて気持ちが良い。
至るところに彼女を探しているという内容の張り紙が丁寧に貼っており、なんだかいたたまれない気持ちになる。本当に会いたい家族の気持ちが流れ込んでくるようだった。
海外で行方不明になったらまず見つからないと思う。自分も他人事ではないので気を引き締めなければ。
午後2時で中間地点に差し掛かっていて、昼食を食べていなかったのでガードレールに自転車を立てかけてパスタを茹でることにした。
「おーい!」と日本語が唐突に聞こえ、私が走ってきた方向からバイクが走ってきた。
「もう追い抜いちゃったのかと思ったw」
イナバさんがバイクでトルウィンから1時間ほどで追いついてきたw
せっかくなので一緒に昼食を食べた。ここまで再会すると、どうしても仲良くなる。
和気あいあいと食べ終わり、ウシュアイアで再会しようと話しお互いに出発する。
お互いに出発前に自転車に乗った写真と、バイクに乗った写真を撮りあった。
そして伝説へ…
中間地点から少しのアップが始まった。標高があがると雪が顔を出す。
道路上は整備してあるので雪はないので大丈夫だ。これが季節が少し後だったら走れなかった。
横では雪合戦をしている家族がいた。微笑ましい。
ウシュアイアの前にアルゼンチンは幻想的な夕焼けを見せてくれた。雪に反射してクリスタルを見ていると錯覚させる空だった。
それから日もなくなりはじめの18時、薄暗闇のなか走っていた。
もうちょっとの距離だけど、その少しがいままで走ってきた中で一番長く感じる。
気持ちばかりが先走っていた。
遠くのほうで町にある、電波塔の光がみえた…!
「あれがウシュアイアああああああああああ」
テンションがおかしくなっていた。
警備員のお姉さんに写真を撮ってもらう。暗すぎてわからないw
思えば2年様々なことがあった
クマに襲われかけたり
川に落ちたり
女の子に振られたり
みんなで騒いだり
楽しかった。
その旅が区切りを迎えたのだ。
ついにアメリカ大陸最南端の町に足を踏み入れた。
街の光は暖炉の火のような、暖かさで迎えてくれた。
もうちょっとだけ続くんじゃ