【白い相棒】ElCarafate〜Esperanza−アルゼンチン
2018年5月2日
吹雪の夜を過ごし、無事に朝を迎えると一層と周りには雪が積もっていた。
橋の下にテントを張っていて助かった。橋の下だからもちろん水が流れるようになっているのだが、流れはじめの湖が凍っていてしばらく雨も降っていない様子で、氷の床になっていた。
氷の床と雪原を抜けて、もとのコンクリの道路に戻り走り出す。
犬のシロの疲れも心配で、走れない可能性も考えたが昨日どおりの20kmペースで走り出した。
一時間ほど走ると高度も徐々に下がったのか周りの雪がなくなり、元通りの土の大地が顔を出した。
雪の大地がこれからもずっと続いたら、横で休憩も簡単じゃなく上に気温も下がるので旅が厳しくなるところだった。
広大な大地をひたすら走り、気がつくと昼になったので道路の横にずれて、昼食の準備をする。
このとき自分のご飯を作っていたら、シロが横にきて
「僕のは?」
とお手を私の膝にしてきて、珍しく飯をクレクレしてきたのでパンをあげるとそのまま満足した。しかし、もっとあげようとしても食べない。かなりの少食だった。
広大な大地でなんもなくてもシロの様子を常に観察しているせいか、わりと飽きずに進めている。
無事に今日目指していた小さな町、エスペランサに到着してホッとした。
入り口近くの民家から3匹の犬がこっちを見つけ、走ってこようとしていた。それと同時にシロも寄ろうとしていたが
「シロ!逃げるぞ!!」
大声で言うとシロもわかったのか犬を無視して一緒にスピードをあげ通り過ぎた。しかし犬たちは道路まで出てきて追いかけてきた、100mほど私達が民家から離れると追うのをやめた。
この出来事からも、なんだか私のいうことを聞いてくれるシロに愛着がすでにわいていた。愛着がわかないようにシロと名付けたのにもうすでに手遅れだったようだ。
エスペランサのガソリンスタンドの店員に許可をもらって、近くの広場にテントを貼らしてもらった。
相変わらずシロは裏側の木の根元に寝床を作り、丸まってテントには自分から入ってこようとしなった。
テントをそのままにガソリンスタンド内のコンビニにWi-Fiがあるので使いに行くと、しばらく経ってからシロが私の様子を確認しにガラス越しにずっと私を見ていた。
Wi-Fiも十分に使ってから、コンビニからでてシロ用に買い込んだビスケットをあげるついでに、お手と待てを教える。
教えなくてもわかっているようで、手で遮ると待て手を出すとお手をしてきた。
ビスケットとは別に食べ物もあげて、シロは満足したのか自分の裏の寝床に戻っていった。
私もテントの中に潜り込み、眠りにつこうと寝袋に包まった。
寝る前にふとした考えが浮かんだ。大きな街にいってから飼い主を探そうと思っていたが、それほど大きくないにしろ「ここ」でも人っ気はある。ここで別れてもシロは大丈夫なのではないかと考えた。
しかし同時に心配でもあり、別れるか別れないか煮え切らないまま答えは出ずに悶々としていたのだった。