【犬とたわむれる】Ercilla〜Gorbea−チリ
2018年3月17日
チリの首都のサンティアゴを出発してから4日ほど経った。相変わらずの高速道だったが首都もまだ近かった為、買い物やガソスタなどの施設には困らなかった。
レストランの横でテントを張らせてもらって、ツナサンドとかもご馳走になりながら(なぜかレストランで買い物をしない時にツナサンドが貰えるのが恒例となってきたw)一夜が明けたが昨日の夜から雨は降り続き、朝になっても弱まるところを知らなかった。
不運なことにここ一帯は赤土のようなドロドロしたような土で、汚れながら準備をしてレストランの従業員に挨拶してから出発する。いつも赤土は衣服の洗濯が大変だったりやら粘性を生かして自転車に詰まるなどして困らせてくる。
だれが見ても土砂降りだった…。
昨日の夜から雨は降り続き、朝になっても弱まるところを知らなかったほど。
小雨ならレインコートで乗り切るつもりだったけれど、それすらも許されないほど強い雨でバス停で雨宿りをすることになった。
「時間が少し勿体無いな」こう言ってみて、私はまだまだ焦って先を急いでいるのかもしれないとも思った。「いけないいけない」と気持ちを切り替えて、のんびりと雨を眺めながら弱まるのを待った。
弱まってから走り出してから1時間以上経ってからガソスタがあったので休憩ついでにWi-Fiをしようと中に入ろうとすると「ワン!!」と吠えられる「犬に目をつけられたなあ、やっかいだなあ」とか思っていつも通り最初は無視を決め込むが、最初吠えたっきり吠えてこない「なんだ??」といつもとの違和感を感じて、よく観察してみると犬に親しみのようなものを感じた。
止まって観察していると近づいてきて匂いを嗅いでからお手のような仕草をし始めた。「かわいいな」と思って少し撫でてやり、犬の気まぐれだろうかとガソスタに入り休憩してから出発しようと外に出てみるとまだ私を自転車の前で待ち構えていた。
「俺を待ってたのか?可愛い奴め−!」とワシャワシャしてやり「じゃあ、またどこかでな」と出発しようとするとそれでも付いてこようとする。
「いつもはあげないんだけど、特別だぞ?」とビスケットをあげて出発しようとすると、少し噛んでから「ペッ!」と捨てた。「食わないのかよ!w」と言うと空気を読んだのか食べ始めたので、そのスキに悪いけれど出発した。
そんな懐っこいなら他のやつにも良くしてもらえるだろう。チリに入ってから好意的な犬が増えた気がする。
ブレッブレだけど、雨の中アメフトをしていた。中学の部活動を思い出すな。彼らもそうなのだろうか、水を飲んではいけないとか連帯責任のようなものも存在するのだろうか。
雨はずっと降ったり止んだりを繰り返しながら少し大きめの町、テムコに到着した。
町に入ってレストランを探し続けて町の外れのほうには全く無く、来る必要のない中心までも来てしまった。そこで3つほど見つけて、そのなかの【人が入っている場所は美味しい法則】を頼りに一番、人がいるレストランに入ってみる。
「めちゃめちゃジャンクフード!」と初めて見たときにそう思った。ポテトの下はカレーのようになっていて、食べてみると別物だけど食べたことのある味で思い出してみると…。
「これ、モツ鍋だわ!」
カレーのような色をしているのにこんな味が出せるとはびっくりした。とても美味しい。よくよく観察してみると日本では普段食べない豚の皮を活かしたペースト状のスープでコクもあり、付いているポテトと揚げパンのような物とも合う。イメージ化では味っ子のようなリアクションを取っているつもりで「美味い美味い!」とむしゃぶり食べていた。
食事を済ませて外を出ようとして、新聞記事のスクラップのような看板を目の当たりにする。たまたま法則に従って入った店が有名店だったようだ。法則、侮りがたし。
店の看板「LasMunecasDelNielol」というらしい。思わぬ収穫だった。
都会だとテンションがあがる。このときから自転車から変な音がしていたがバッグが干渉しているような音で、止まるたびに色々試してみるが効果がなかった。
きれいなお花。
このあたりを走っているときに「さっきからこの音なんだ?前輪からするからちょっと取り外してみるか」と外してみるとなんと中心から音が鳴っているじゃないか「これはグリスがなくなりかけてる音じゃないか?!前は後輪を放っておいて、中の皿が折れたんだった!!」とりあえずヤバい!!と思って町を引き返して、自転車を目指す。
その間もガリガリ音が酷くなって行く「どうか、どうかもってくれえええ!」と願いながらも走り続けた。
無事、店までたどり着いて「ここをなんとかしてくれ!とりあえずグリス!!」と言って任せる。返ってきた自転車はスムーズに回り「良かったあ!」と問題が解決した。なにごとも早期解決が悪化を防げるなと思った。
気を取り直し走り出すと天気も回復していった。
サーカスのような建物が見える。条件反射的にどんな人たちが働いているんだろうとワクワクする。
問題も起きずに走り続けて夕方を迎える。
野宿地を探し続けてこのホテルが目に入った。住人に挨拶しようと「こんちはー!」と言い続けるもただただ響くだけだった。
「もういいや野宿しちゃえ!」とテントを立てようととしたところ
「ワンワンワンワンワンワン!!!」
めっちゃ大勢の犬の吠える声が近づいてきた。
ヤバいという時には遅く、11匹の犬に囲まれてしまった。
こういうときビビった姿勢を見せたら…死ッ!
と思って平然を装いつつテントを立てようとするものの、ずっと吠えられ続けていた。犬たちは本格的に近寄ってこようとしており、少し目をそちらに移すと一匹だけ動きのオカシイ犬がいることに気がつく。
黒い一匹の犬だけ何故か他の犬を静めようと、私と犬の間に入ったり犬に噛み付いたりしていた。そのクロに向かって手を差し伸べてみると頭を下げて尻尾をブンブン降ってきた。クロは助けるというよりは私を独り占めにして遊びたそうにしていた。
このクロは頭を撫でようとすると避けるけれど嫌そうでなく、ゲームをする子どものような反応だ。それでも親しげに続けると撫でることができて、他の犬もそれを見て吠えるのを少しずつやめていきクロは満足したのか走り去っていった、続くように他の犬も帰っていった。
…と思っていた、1時間ほどしてから取り巻きの犬だけが戻ってきてまた吠え始めた。テントの中で寝ようとしていた私は「辛抱たまらん!!」と思ってAndroidの対犬用の超音波アプリをダウンロードして、半信半疑で起動させると15分後に遠く離れて行った。
アプリをやめて眠ろうとするとまた戻ってきて、また起動するを3回繰り返すと取り巻き犬は学習したのか戻ってこなくなった。
「このアプリ使えるぞ!」と確信を得る。他にも蚊とか若者用の超音波もあるw
「クロ、よく教育してやってくれよ…」大勢を連れるクロの苦労を考えながら眠りについた。
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